金融庁は9月10日、「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方(案)」をディスカッション・ペーパーとして公表しました。10月11日までパブリックコメントを募集し、寄せられた意見を踏まえ、本年12月に本文書を最終化し、検査マニュアルを廃止するとしています。
本文書では、従前の過去実績を基にした引当を見直し、足元や将来の情報に基づきより的確な引当を行うという方向性が明確に打ち出されています。これは、国際財務報告基準(IFRS)や米国会計基準(US-GAAP)と類似したものと言えます。
今後のパブリックコメントでは、具体的な実務について多くの意見が寄せられることが予想されます。与信ポートフォリオの信用リスクを特定・評価することは、償却・引当の適切性の議論だけでなく、金融機関の経営戦略におけるリスクテイクや内部管理態勢のあり方、自己資本の十分性、収益性、ビジネスモデルの持続可能性にも直結する問題であり、12月の最終化が注目されることになりそうです。