Strategy 戦略的リスク管理に関する考え方

戦略的リスク管理のフレームワークに関する当社の考え方の概要は、以下のとおりです。

リスク管理の目的は、戦略的観点から統合的にリスクをコントロールし、経済価値ベースの企業価値を安定的に向上させることです。そのために重要なポイントは以下の3点であると考えます。

戦略的な観点

リスクは企業価値の最大化に必要不可欠なものであるという認識を持ち、経営陣が戦略的な観点から、どのリスクをどの程度取り、どのようにコントロールすべきか、という意思決定を行うことが重要となります。

リスク管理は、収益性や効率性の向上も同時に目指すものである必要があるため、従来の「リスクの顕在化を未然に防ぐもの」「監督機関対応」といったリスク管理のイメージを一新し、社内の「リスク管理文化」を大胆に改革する必要があります。

統合的・整合的な観点

一般的にリスクの統合という言葉は、会社が保有する複数のリスクが全体としてどのような水準になるかという、リスク定量化の側面で使用されることが多かったと思われますが、当社はその際に、各々のリスク種類が整合的に統合されているかという観点が重要と考えます。

さらに、会社全体として一貫性のあるリスク管理および意思決定が行われているか、すなわち、個別のリスクテイク戦略、パフォーマンス評価、資本の配分等が、一貫性を持って整合的に扱われた上で、経営上の判断がなされているか、ということを重視します。

経済価値との整合性の観点

資産の経済価値と負債の経済価値の差額として経済価値ベースの純資産を把握し、その変動をコントロールすべきリスクととらえているか、ということが重要と考えます。

経済価値ベースでリスク管理を行うことの意味としては、資産と負債が整合的に評価できる、中長期的には会計価値と整合的になる、将来に禍根を残すような隠れた債務等を生じさせない、市場と整合的な評価を行うことができるため市場の変化が常に価値に反映される、各部門の評価のための共通の尺度として適切、といったことが挙げられます。

上記のポイントを踏まえつつ、一方では、会計上、規制上のルールも満たすべき重要な条件として考慮し、さらには、これらのルールの将来的な変化の方向性も見据えた上で、企業価値最大化のために必要となる、戦略的統合リスク管理のフレームワークを構築します。